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東京都大学リーグ最終節(第7節) 明治学院大学フットサル部SAjugaria戦


今シーズン最初の部長挨拶以来の投稿になります#8伊藤です。2/27の東京都大学リーグ第7節、明治学院大学フットサル部SAjugaria戦をもって、僕が部長を務めさせていただいた代の活動を終えました。部員に、やれ出欠の連絡をしろ、やれ早くブログを書けと尻を叩いて回った1年間でしたので、読者の皆様にとっては連投になってご迷惑かもしれませんが、投稿させて頂きます。このブログの後から引退ブログリレー(執行代の3年+#23六岡が書きます。)が始まり、僕はこのブログと合わせて2回書く機会を頂けるようなので、自分が3年間(特に部長として過ごしたこの1年間)考えてきたことをまとめてみたいと思います。今回は純粋にフットサルのプレーについて書き、コートを離れたところでの話は引退ブログリレーで書くことにします。

まずは今回のブログの題名通り、jugaria戦を振り返りましょう。

今シーズン最後の試合と意気込んで臨んだ一戦、結果は1-8、正に今期を象徴するような惨敗を喫してしまいました。序盤から前プレをかけるも抜けてきた相手についていけず先制点を奪われてしまいます。その後も前プレを続けるものの、間に落ちてくる相手を捕まえ切れずなかなか高い位置で奪うことができません。奪いどころの定まらないまま受け身の時間が続きました。時折ボール奪取からカウンターを試みるも、運動量で上回る相手に対してゴールまで運ぶことができませんでした。また相手の前プレにも対応できず、苦し紛れにピヴォに当てても相手のはやい戻りに、うまくサポートを作ることができませんでした。それでも前半はなんとか3失点にとどめて折り返します。

後半先に点を奪ったのはTech。この試合で引退する#12村並の左足でのチョンドンが決まり、反撃に転ずることができるかと思いました。その後こう着状態が続くも、試合巧者はやはりjugariaでした。前半から奪い切れないまま前プレを続けたTechに体力は残っておらず、4失点目を喫してからは立て続けに失点。最終的には8点を取られる完敗となってしまいました。

自分はフィジカルにある程度恵まれているため、比較的得意だと自負していますが、Techの多くの選手は背負って受ける相手に対してプレッシャーをかけるのが下手だと思います。フットサルにおいて後ろ向きで受けてくれる状態ほどの奪いどころはありません。単純な話、相手はマーカーとボールを同時に見ることが難しくなるからです。どうしたって判断の質は下がります。それなのに相手が落ち着いてトラップすることを許してしまう選手が多くいます。これは是非改善していってもらいたいポイントです。

さて試合の反省点は挙げたらきりがありませんが、この後の話とも重複してくるので試合の振り返りはこの辺で一旦終わりにすることにします。シーズン全体の振り返りをしようかとも思いましたが、それも引退ブログの方に回しまして、ここからは僕が今シーズン考えてきたフットサルとは何かという話をしたいと思います。

 

初めに断っておきますが、これから書くことは必ずしも正解ではないでしょう。ですが僕はこれを自らのプレーの、あるいはチームを修正する際の判断基準として用いてきました。シーズンを過ごしながら少しずつ修正を重ねて現段階の自分なりの理論ができました。これを読んで頂く人(特に来シーズン戦う後輩のみなさん)には、自分のフットサル観を作り上げる一つのベースとして使って頂けたら嬉しく思います。これは考えになかったというものがあれば一度取り入れてもらいたいですし、これは違う気がすると感じるものがあればそれについて深く考えて自分がなぜそう思うのかを明確にしてもらいたいです。フットサルという10人が自由に動き回るスポーツにおいて、各状況に対して個別解を求めてもきりがありません。ある程度の原則を自らの中に確立し、それを元に判断できるようにならないとプレーヤーとして飛躍することは難しいのではないでしょうか。このブログがその原理原則確立の一助になれば幸いです。

さて前置きが長くなってしまいましたが、この後の流れを簡単にまとめます。初めに【フットサル全般】において言えることを書きます。その後に【攻撃編】【守備編】に分けて書きます。この2編はさらにそれぞれが、《チーム》と《個人》の2項目に分かれています。そして最後に【その他・まとめ】を書いて本ブログの締めくくりとさせて頂きます。大変長くなりますが、最後までお付き合い頂けることを願っております。

【フットサル全般】

フットサルに限らず対人を伴うあらゆるスポーツにおいて言えることですが、試合を優位に運ぶために考えるべきことが、『イニシアチブの確保』です。日本語で言えば主導権になりますが、これは単にボール支配率を上げることを指しているわけではありません。僕は長らくFC Barcelonaのファンですので、ポゼッションサッカーに対するリスペクトがあります。ですがそのバルサから優勝を奪ったシーズンのアトレティコ・マドリーは、堅守を武器としながらも確実に試合の主導権を握っていました。アトレティコは試合の半分以上の時間を、あえて相手にボールを握らせることによって、相手陣内にカウンター時に使えるだけのスペースを作り出して得点に繋げていました。精度の高いカウンターを武器に、守備をしながらも試合のイニシアチブを確保していたわけです。
これが僕の言いたいイニシアチブの確保です。攻撃にせよ守備にせよ、点を取れる形・ボールを奪える形に意図的に持っていきたいのです。もちろんこれは自分たちにそういう形があることを前提としている話なので、来シーズンのチーム作りをするにあたりその形が想像できないようなら、まずはそれを明確化するところから始めてください。
またイニシアチブの話はチーム全体だけでなく、個人単位においても同様のことが言えます。1対1の場面で仕掛けているはずのオフェンス側が、気づいたら相手と距離がなくなっていて、どこにも抜くコースがないなんてことがよくあります。1対1が苦手な人の多くは自分が抜けるイメージがなく、とりあえず相手に近づいてから考えてしまっている気がします。かくいう僕も1対1が苦手なタイプだったので、気持ちはとてもわかります。ですが最近話題のドリブルデザイナーさんもおっしゃっているように、確実に抜けるポジションはあって、相手に悟られないようそのポジションにたどり着くことが1対1を制するコツだということが、最近になって実感を伴ってわかるようになってきました。そのポジションは相手の足が届かず、なおかつ弾けた時に相手を振り切れる位置です。1対1の詳しい話はYouTubeで見てください。
言いたいことはチームにせよ個人にせよ、勝てる形にどう持っていくかということです。もちろん相手の出方などもありますが、自分が(あるいは自チームが)これなら成功するという形を練習で見つけ、試合ではその形を意図的に起こすことを狙うということが大切です。今シーズンは相手に左右されすぎていたと思います。相手がピヴォ当てしてくるからとりあえず縦を切ろう、これはリアクションです。けれど相手がピヴォ当てしてくるから、あえて縦を開けてパスを予測しフィクソでパスカットを狙おう、これはアクションです。主導権を握るということは、結局のところリアクションのプレーをアクションのプレーに変えることとも言えるのかもしれません。

【攻撃編】

《チーム》
チームとして攻撃時に考えるべき項目を3つ挙げたいと思います。

・相手にとって危険となりうる位置にスペースをどう創るか
・数的優位の局面をどう生み出すか
・個の力で勝てる人に、勝てる状況でどうボールを渡すか

最初の二つは相手の能力に関係なく意識してほしいことです。スペースがあるということはそれだけ余裕があるというのと同義です。数的優位の状況は、一人当たりにかかるプレッシャーが減るということです。三つ目は試合の中で探すことになり、当然相手の能力も関係してきます。しかし例え相手が多摩大であれGAZILであれ、勝てるポイントが一つもないと思ったことはありません。試合の中でどれだけそのポイントを発見するかが重要です。事前のスカウティングにはそういった意味合いもあるので、これも重要と言えます。

さて一つ一つについてもう少し詳しく記述します。『相手にとって危険となりうる位置にスペースをどう創るか』ですが、まずは危険な位置とはどこでしょうか。当たり前のことですが、シュートは遠くから打つより近くから打つ方が確率は上がります。よって相手のゴールに近いところがそれに当たります。「何を今更…」と思わないでください。例えば引いている相手に対してピヴォ当てをしてスピードアップしてしまう場面をよく目にします。しかし相手が引いているということは、スペースは自陣にあるということです。それなのにわざわざ相手が待ち構えていて狭い敵陣に向かってスピードアップしていくということは、ボールを奪ってくれと言っているようなものです。少し想像すればピヴォにパスが渡ったとしても挟まれて奪われることがわかると思います。ピヴォ当てを有効なものとするためには、相手を敵陣から引きずり出す必要があります。(別にピヴォ当てに限った話ではありません。ワンツーをするにも1対1を仕掛けるにもスペースは必要ですから、あくまでその一例として挙げているに過ぎません。)そのためにもフリーでボールを持っている選手は簡単にはたいてしまうのではなく、一度相手を引きつけてからパスを出すべきです。ボールを運んでみて、それでも相手が出てこないようならそのままシュートを打てる位置まで運んでしまいましょう。サッカー選手ですがイニエスタなんかはこうした運び方が秀逸で、ルックアップしたままいつでもパスが出せる運び方をします。Techにはこれができる人が少なく、一度運び始めるとスピードアップしてキャンセルが利かないという人が多いです。これができるとかなり重宝されると思うので、ぜひトライしてみてください。

2つ目は『数的優位の局面をどう生み出すか』という話です。数的同数で競技を行なっているわけですから退場などを除けば、数的優位の状態が続くことはありえません。したがってそうした優位の状況は瞬間的なものになります。ではどのようにして数的優位を創り出すか。それは「相手の考えにないプレー」をするか「相手の考えにはあっても、対応が追いつかないプレー」をすることです。一つの選択肢として挙がるのがダイレクトパスです。正確性が下がるために使用頻度が高くないダイレクトは相手の意表をつくのに最適です。ただし先ほども言ったように、相手は遅れながらも対応してくるので数的優位が瞬間的なものであることを忘れてはいけません。スピードアップする際にはシュートまでのビジョンを明確に持つことが重要です。

3つ目の『個の力で勝てる人に、勝てる状況でどうボールを渡すか』は文字通りの意味です。今期であれば#31小松のシュートや#7河村(以下:優介)の左アラの仕掛け、#4富川のピヴォでのターンシュートなどがありましたが、彼らもどんな状況であっても勝てるわけではありません。左アラにいる優介にボールを渡しても、相手のフィクソがカバーに回ってしまっては仕掛けられません。ピヴォの選手は逆サイドに開いてファー詰めに備えるとともに相手のフィクソを引きつけて、1対1を仕掛けるだけのスペースを生み出してあげる必要があります。またアラへのパスも速く正確に出すことで、相手のアラに寄せる時間を与えず、より優位な状態で1対1ができる状況を生み出せます。勝てるポイントがあるとついそれに頼りがちになりますが、そのポイントも状況によっては勝てるポイントではなくなってしまうので、『勝てる状況で』というのはそういう意味を含みます。

《個人》

個人の話は始めると枚挙にいとまがないので、オフ・ザ・ボールに絞って話を進めます。

Techの多くの人(おそらく他の大学でも)が高校までサッカーをしていてフットサルは未経験だったと思います。フットサルはサッカーに比べてコートがとても狭いので、オフ・ザ・ボールの動きは非常に重要です。(参考までにサッカーの公式なコートのサイズは105m×68mで人数が22人、フットサルは国際試合での規定だと最大で42m×22m、人数が10人ですので、一人当たりの面積は単純計算で324m2と92 m2となり、3/10ほどのスペースしかありません。)
これだけ狭い中ではボールを受けてからどうするかを考えるのでは遅く、ボールを受けた時にどれだけよい状態を作り出せているかが重要になってきます。

オフ・ザ・ボールの重要性を話したところで、僕はその原則は次の一文に集約できると考えています。それは『ボールホルダーがパスを出せる範囲内で、かつ自分が受けた時に最も次のプレーがしやすいところに動くこと』です。相手を引きつけて味方のスペースを生み出す囮の動きなどは例外ですが、自分が受けるためであればこれが本質でしょう。

Techでよく目にする悪い例は、出し手が出しやすいところに動き過ぎて、受けた時には自分が限定されてしまっているといった状況です。パサーに近寄って受けてあげればパサーは出しやすいでしょうが、受けた後にプレーするのが自分であることを忘れてはいけません。自分が苦しむことがわかっているのに出し手に過剰に気を遣ってあげることはありません。また他の例としては、ボールが出てこない状況で駆け引きを行なって、フリーになってもパスが来ないことなどでしょうか。『ボールホルダーにかかるプレッシャーはオフ・ザ・ボールの一つの指標』です。激しいプレスを受けていれば当然パスを出せる範囲が狭まるので、どうしてもパサーを助けるポジションを取らざるを得なくなります。けれどもプレスが弱い状況であれば、多少出すのが難しいポジション取りをしてもパスが来る可能性が高いので積極的に危険なポジションを狙うことができます。これを意識するだけでフリーランの質は格段に向上するはずです。

また当然ですが『自分をマークしてくる相手は一つの指標』になります。シーズン序盤の練習で、高い位置を取ることをしつこく言ってきましたが、それは今まで極端に低く安全なポジションを取る人が多かったからです。しかし高い位置を取ることが習慣化してくると漫然と高い位置を取り始める人が現れます。《チーム》の1つ目の話でスペースを扱いましたが、相手が引いている状態で高い位置を取りにいったところで捕まってしまうだけです。相手が出て来ないなら低い位置でパス回しに参加していればよく、相手がボールを奪いに前がかりになった時初めて高い位置を取ることに意味が生じます。そして高い位置を取った時に相手がついて来なければそのまま高い位置を保ち、食いついてくれれば下がって受ける・アラコルタを仕掛けるなどの選択肢が出てきます。あるいはフィクソのポジションにいるボールホルダーがドリブルからシュートまで持っていく力を備えている場合は、アラの選手は高い位置を取り続けて相手を引きつけ、ボールホルダーが仕掛けるためのスペースを生み出すことも一つの手です。

他には『自分のマーカーの視野も指標』となります。マーカーは自分のことを見ていますが、同時にボールの動きも把握したいものです。そのため相手は自分とボールを同一視したがるものです。それを逆手に取る形でボール・相手・自分となるように動くことは、相手を振り切るための工夫です。自分がフィクソでボールを持っていることを想像してください。左アラにパスを出した後、左アラに寄って行くと相手はボールと自分を同時に見ることができてしまいます。しかし左アラに出した後、右前方に走り出せば相手はボールと自分のどちらかから目を切る選択を迫られ、一瞬ですが隙ができます。相手に、ボールと自分を同一視野に収めさせないことも考慮すべきポイントと言えるでしょう。

オフ・ザ・ボールの話の最後に、ボールホルダーに対するサポートの作り方を取り上げます。ボールホルダーに対するDFの基本ポジションはボールとゴールの間です。よってボールホルダーがゴールの正面にいる場合を除き、DFはボールに対して斜めの位置取りをしている場合がほとんどです。そのためサポートは縦もしくは真横に入ってあげる方がパスを受けやすくなります。スペースのあるサッカーの感覚でワンツーのサポートを斜めに位置取る人がいますが、基本は真横に取りましょう。(全ての場合がそうだとは言っていません。時には斜めの方がいい時もあります。)またサポートで意識するべきこととしては、『相手がマークを確定しづらいポジションを取ること』が挙げられます。前プレをかけている時、1列目が下がって見るのか、2列目が食いつくべきなのか、判断しかねる中間のポジションを取られると困ります。それと同様に、相手と相手の間にポジションを取ると判断に迷う上、無理についてきてくれれば相手の陣形がいびつな形になるので是非狙いましょう。

【守備編】

《チーム》

さて守備に話を移しますが、【フットサル全般】でも述べたようにまず意識すべきことは守備であってもリアクションにならないことです。奪い切るポイントを共有し、そこへ追い込むためにどのタイミングでスイッチを入れるか。前プレでもハーフでも大切なのは段々と相手の選択肢を狭めること、相手の進路を限定していってカバーの利くコンパクトな陣形を作り上げることです。対角のパス(フィクソからピヴォ、アラから逆アラ)は守備の陣形を大きく変えることを強いられるので、まずはそのコースを切ります。そしてそれ以上に1対1で剥がされると数的不利の状況ができるので、簡単に抜かれないことは大前提です。

経験則ですが『奪える時の陣形は1stDFを頂点としたひし形』が多いような気がします。なぜひし形がよいかというと、『3列の関係』ができているからです。3列あれば『チャレンジ・カバー・カバーのカバー』という関係が築けます。しかしこれが2列になってしまうとカバーが少しでも遅れようものなら崩されてしまいます。(1列は論外です。)Techの前プレはΥ字でスタートしていますが、取り切る時にはひし形になっていることが多いのでぜひ動画で確かめてみてください。

カバーの話を出したので補足しておくと、自分のマークを捨てきれずカバーが遅れることが往々にしてあります。その対策として、カバーのカバー、つまりは3rdDFが初めに動いてあげることが挙げられます。1stDFがある程度限定できていれば、まずパスは来ないだろうという相手選手が1人は生まれます。そこでその選手をマークしている選手を3rdDFとして、3rdDFの選手が次にパスが出るであろう選手をケアし、その選手のマークをしている2ndDFをカバーのポジションへと押し出してあげることでカバーが遅れることを防ぐことができます。DF時にボールと逆サイドにいるとどうしても当事者意識が低くなってしまいますが、実は最初に動き出すことができる重要なポジションです。

《個人》

守備において個人で意識すべきことはいくらでも挙げられますが、意識してほしいのは『相手のボールホルダーへのプレスのかかり具合』です。全然プレスがかけられていない状態であれば、ドリブルはもちろん、多少難度の高いパスも出てくる可能性があります。不用意に2ndDFが相手に食いつくと対角のパスを通されるリスクや、オフ・ザ・ボールの駆け引きで負ける可能性が高くなります。ハーフの守備でよくアラの選手に絞れという指示が出るのは、相手のアラに食いつきすぎてピヴォへのコースが空きすぎるからです。一方で1stDFがうまくプレッシャーを与えている場合、出せるパスコースが限られて狙いやすくなるので、2ndDFは連動してプレスをかける必要があります。ここで連動できないとチームとしての取り所を失うので、無駄に体力を消耗してしまいます。

もっと基本的なところで言えば、『ボールが動いている間に寄せて、トラップしたらパスやドリブルに対応できるような姿勢を取ること』などが挙げられます。基本事項ですが案外これを徹底できている人は少数です。またドリブルやパスに対応する姿勢というのも言うほど簡単なものではありません。例えばドリブルに対応すると言うとついつい抜かれないことを意識してしまいがちですが、そこに意識が及びすぎると後ろ重心となって対応が後手に回ります。最近僕は奪い切ることを個人的なテーマにしており、時には一発で行ってDFが軽くなることもありますが、前重心にしてボールを取りきれることが格段に増えました。相手のパスやドリブルに対して自分の足が届く範囲までしっかり寄せ切ることを心がけています。

【その他・まとめ】

ここでは攻守のどちらにも分類できないものなどを扱います。

先ほどまでの【攻撃編】【守備編】で取り上げたのはほとんどが互いの陣形が整っている時の話でした。けれど実際の試合で点が動くのは得てしてトランジション(攻守の切り替え)だったりします。なぜトランジションの局面で点が入りやすいのでしょうか。それは攻守の切り替えの場面が『危険な位置にスペースがある状態』『数的優位ができる状態』の宝庫だからです。攻撃で前がかりになった状態でボールを奪われれば当然自陣に広大なスペースが現れてしまいます。また得点しようと前に人数をかければ、奪われた瞬間数的不利な状況が生じます。つまりトランジションは、【攻撃編】でそうした状況をどう創り出そうかとあれこれ考えたことが自然に起こっている状態なのです。これを利用しない手はありません。
よくあるのはキックインなりコーナーキックを得た時に、相手の陣形が整っていないにも関わらず、その隙を見逃して相手が陣形を整える時間を与えてしまうことです。素早くリスタートすれば番号を使わずともシュートまで行けるのに、です。

攻撃と守備は表裏の関係なので、こうしたことは守備にも言えます。攻撃をする際に奪われて守備に回ることを考えている人がどれだけいるでしょうか。もちろん点を取るためにはリスクを冒して人数をかけなければいけない場面もあります。しかしリードしている展開で、奪われた時に『危険な位置にスペースがある状態』『数的優位ができる状態』となるような攻め方をする必要はありません。攻撃をするからには失うことではなく点を取ることを考えますが、カウンターを食らわない失い方を考えることも時には必要です。

他にはセットプレーも試合を動かす重要なファクターです。特にセットプレーは意図的に狙った状況を起こしやすいので、練習の成果が出やすい分野でもあります。もしチームとして成長に行き詰まりを感じたら、セットプレーを徹底するのも一つの選択肢かもしれません。

本ブログの締めくくりとして最後に言いたいのは、あるプレーをする際にその目的や意味は何かを考えてほしいということです。例えばチョンドンの守備では壁がくっつくのが基本ですが、高い位置でキックインを得たからといって、相手が必ずしもチョンドンをしてくるとは限りません。その場合に、考えもなくくっついてしまうと、むしろフリーな選手が生じてしまいます。壁がくっつくのはあくまで手段や方法であり、それが目的化してしまっては本末転倒です。こうした方がいい、これはしない方がいいというパターン学習も必要な過程です。ですがその背景にはどんな理由があるのか、そして問題の本質を見出したら他の解決方法はないかを考えることで、より柔軟な対応ができるようになるはずです。

さて以上が本ブログで書きたかったことの全てです。宣言通り大変長くなってしまったので、ここまで読んでくださった方がどれだけいらっしゃるかわかりませんが、それなりに役立つことを詰め込んだつもりです。もし自分のプレーに行き詰まりを感じている人がいたら、上記の内容と照らし合わせてみてください。課題が見つかるかもしれません。またこれを読んで異なる意見を持った方は教えてください。僕もまだまだ向上していく予定です。

 ご精読ありがとうございました。このブログの後から引退ブログリレーが始まります。トップバッターはニャンちゅうに似ていると噂の#6青木です。それぞれがTechで過ごした3年間(あるいは6年間)の想いがこもった熱いブログを書いてくれると思うのでご期待ください。僕もラストに向けて書きためておきます。(長すぎるという批判は受け付けておりません。)それではまた。(1万字を超えたようです。)

この記事を書いたプレーヤー
OB Satoru Ito 伊藤 暁

屈強なフィジカルでのドリブルを得意とする頼れる四年生。屈強な肝臓も兼ね備えていて、いつかどっちかは勝てるようになりたいと思っている後輩は多い。