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クラブ戦略:ランチェスター戦略

自分たちが弱者であることを認め、限られたリソースで戦略的に闘う。

Tokyo Tech.はセレクションやスポーツ推薦を行わない体制をとっているため選手のリソースが限られています。

また、活動日数も週2~3回と他の体育会系のフットサル部に比べれば相対的に少なく、時間のリソースも限られています。

そのため、他のチームと同じように練習し、同じような戦術を採用していては上を目指すことに限界が来ます。

Tokyo Tech.は今あるリソースと現在地を認識しゴールから逆算して戦略的に闘います。

自分たちの強みを作り、自分たちの得意なフィールドに持ち込み、勝利を目指す

具体的にどのように勝利を目指すかというと、ランチェスター戦略というビジネスで広く使われている戦略を用います。

ランチェスター戦略とは第一次世界大戦のときにイギリスのランチェスターによって提唱されたランチェスターの法則という数理モデルを応用した戦略であり、弱者が強者に勝つ戦略としてビジネスの世界で広く使われてきました。

Tokyo Tech.は自分たちの強みを作り自分たちの得意なフィールドに持ち込む局地戦に持ち込むことで勝利を目指します。

クラブ哲学:インテリジェンス

攻撃と守備をセットで考える

フットサルは常に攻撃と守備が連続します。
ボールをホールドしているチームが攻撃し、もう片方のチームは守備をすることを考慮すると攻撃と守備は常に表裏一体であり、セットで考えることが非常に重要です。

以上を踏まえるとフットサルというスポーツは相手の守備組織を攻略し、相手よりより多くのゴールを奪ったチームが勝つことができます。

思考停止で裏に抜けたり、足元で貰うのではなく相手の守備に応じて状況判断してプレーを決断します。

ゴレイロ(キーパー)もセットで考える

フットサルにおいてゴレイロが果たす役割はとても重要ですが、どうしてもフィールドの選手と分離して考えがちです。

しかし、Tokyo Tech.ではゴレイロにもプレーモデルを持たせることでゴレイロと協力してディフェンスしやすくし、ゴレイロがボールを保持(攻撃参加)したときには迷いを無くします。

また、ゴレイロもセットで考えることでより数的優位を作りやすくなったり、攻撃時にゴレイロの守り方を念頭にいれることで攻略しやすくなるという狙いがあります。

配置論と3つの優位性を考える

  • 数的優位
  • 質的優位
  • 位置的優位

選手の配置によってもたらされる3つの優位性を意識し、局所的にこの優位性を最大化させることでストロング(強)サイドを構築してゲームを攻略します。

上図が示すようにこの3つの優位性はそれぞれが独立したものではなく、お互いに相互作用し密接に関係しています。

Tokyo Tech.は選手の質(クオリティ)、特にフィジカルとテクニックが他チームより大きく劣るためインテリジェンスの強化を意識し、数的優位位置的優位を連続的に作り出すことをプレーモデルとしています。

プレーモデルとは?

プレーモデルとは文字通りプレーの模型を意味し、プレーの原則を体系化させたものだと私達は解釈しています。

プレーモデルはクラブの歴史や哲学、選手の能力などを汲み取って作られるケースが多く、近年のフットボールではプレーモデルを導入するチームが増えてきました。

プレーモデルは自分たちが実際に行うフットサルのやり方を示す意思決定基準になるため、カオス(複雑)なフットボールをチーム全員がより共通意識を持たせやすくするメリットがあります。

そのため、Tokyo Tech.でも短い練習時間で効率的に勝利を目指しやすく出来るようにプレーモデルを導入しています。

細かい局面での主原則、準原則等は割愛させて頂きますのでご了承ください。

プレー理念

プレーモデルを理解し、チームとしての共通意識を持てる選手がピッチに立たせることを理想としています。

相手チームのプレーモデルを考察し、攻略する

相手の攻守の狙い(プレーモデル)を自分たちなりに解釈し、攻略します。

具体的には次のようなことを考えます。

  • 相手の守備がゾーン気味なのか?マンツーマン気味なのか?
  • 相手の利き足はどっちなのか?
  • どのようなセットプレーをしてくるか?

事前のスカウティングだけではなく実際のゲームの中で考察し、修正をすることも必要不可欠であり、限りあるタイムアウトを有効に活用します。

遅いよりも早い方が良い

一部の局面を除いて、遅いよりも早い方が良いという理念を掲げています。

トランジションを制するものはフットサルを制する:切り替え-1秒

フットサルは攻守の移り変わりであるトランジション(カウンター、被カウンター)からのゴールが多くなる傾向にあります。

トランジションの局面において選手個人がトランジションのプレーモデルを理解することは勿論大事ですが、それ以前に切り替えの速さが一番大事だと考えています。

切り替え-1秒という理念はフウガドールすみだ切り替え0秒から習って掲げた理念であり、更にマイナス1した理由は予測の意味を持たせたいからです。

トランジションが発生する前からある程度それを察知(予測)して動き出すことでトランジションを優位に進めることができます。

クイックリスタート

チームとしてセットプレーにサインプレーを用意していますが、相手守備組織が整っていない状況においては素早くプレーを再開させてフィニッシュまで持ち込むことを共通意識として持たせています。

局面の分割

フットサルの局面を上図のように4つの局面(フェーズ)に分類し、一つの局面を更に副局面(サブフェーズ)に細分化して考えています。

  • 定位置攻撃
  • 定位置守備
  • トランジション攻撃(カウンター、ポジティブトランジション)
  • トランジション守備(被カウンター、ネガティブトランジション)

大半のチームがこのような分割の仕方をしているため、他チームとの交流やネット上で情報収集する上で苦にならないようにするのを理由にこの4つの局面に分割しています。

以上を踏まえてプレーモデルを構造化するとこのようになります。

コートの分割:ピッチの捉え方

フットサルはFP(ゴレイロを除いた選手)が4人であるのに加え、フットサルコートの目印(第二PKライン等)から試合中に選手が認知しやすいことを理由に横の4分割、縦に4分割の4×4=16分割の方法をとりチームに戦術を落とし込んでいます。

また、各局面それぞれに対し各ゾーンでのプレー原則(主原則、準原則)を定めています。

横分割(4等分割)

第二PKラインとハーフウェーラインを目印に10m×4でコートを横分割します。

  • ディフェンシングサード
  • ミドルサード(自陣)
  • ミドルサード(敵陣)
  • アタッキングサード

縦分割(4等分割)

コーナーからの5mラインの目印、コートの中心を目印に5m×4でコートを縦分割します。

  • サイドレーン(左)
  • センターレーン(左)
  • センターレーン(右)
  • サイドレーン(右)

横×縦分割(4×4=16分割)

プレー中にここまで細分化してコートを意識することは少ないですが試合を振り返る時の一つの指標とします。

(一部の局面ではペナルティエリアやセンターサークルも意識してプレーします。)

参考文献

Tokyo Tech.のチーム哲学、戦略、プレーモデルはサッカーやフットサルの参考書、ネット上の資料、Fリーグや海外での指導経験がある方とのやりとり等を参考に緻密に作成しました。

参考にした文献を載せておきますので気になる方は是非購入して一読して頂けると幸いです。